1on1で使える質問リスト50選|部下のタイプ別・目的別の効果的な聞き方
「1on1ミーティングをやっているけれど、毎回同じ質問になってしまう」「部下が本音を話してくれない」「そもそも何を聞けばいいのかわからない」。1on1を導入している企業は増えていますが、質問の引き出しが少ないために形骸化してしまうケースは少なくありません。
1on1の質が上がるかどうかは、「どんな質問をするか」で8割決まると言っても過言ではありません。良い質問は部下の思考を深め、気づきを促し、行動変容につなげます。一方で、不適切な質問は部下を萎縮させ、1on1そのものを「苦痛な時間」に変えてしまいます。
本記事では、1on1ミーティングで使える質問を目的別に50問厳選しました。さらに、部下のタイプ別のアプローチ方法と、避けるべきNG質問もあわせて解説します。この記事をブックマークしておけば、明日の1on1からすぐに活用できます。
目的別・1on1質問リスト50選
1on1の質問は、大きく5つの目的に分けられます。毎回の1on1で全ての質問をする必要はありません。その時の部下の状況や関係性に応じて、適切な目的の質問を選ぶことが大切です。
業務の進捗確認・課題発見(10問)
1on1の基本となるのが、業務に関する質問です。ただし、単なる進捗報告の場にならないよう注意が必要です。「状況を聞く」だけでなく、「困っていることを引き出す」質問を心がけましょう。
- 今、一番時間をかけている仕事は何ですか?
- 今週の業務で、一番手応えを感じたことは?
- 進めるうえで、困っていることや迷っていることはありますか?
- もしリソースが無制限にあったら、どの仕事にもっと力を入れたいですか?
- 今の業務量は、自分にとって適切だと感じますか?
- 誰かの助けがあれば解決できそうなことはありますか?
- 直近で「これはうまくいかなかったな」と思ったことはありますか?
- チーム内で業務の進め方について改善したい点はありますか?
- 今の仕事の優先順位で、判断に迷っていることはありますか?
- 業務の中で「もっとこうすれば効率が上がるのに」と思うことは?
キャリア・成長支援(10問)
部下の中長期的な成長を支援するための質問です。日常業務に追われているとつい後回しになりがちですが、キャリアについて定期的に対話することが、部下のエンゲージメントを高める最も効果的な方法です。
- 1年後、どんなスキルを身につけていたいですか?
- 今の仕事で「もっと伸ばしたい」と思う能力はありますか?
- 将来、挑戦してみたい仕事や役割はありますか?
- 最近、成長を実感した瞬間はありましたか?
- 今のポジションで、もっと経験を積みたい分野はありますか?
- 社内で「あの人みたいになりたい」と思う人はいますか?その理由は?
- 今の仕事と、自分が将来やりたいことのつながりをどう感じていますか?
- スキルアップのために、会社にサポートしてほしいことはありますか?
- 前回話したキャリア目標について、進捗はいかがですか?
- 5年後の自分を想像したとき、どんな働き方をしていたいですか?
モチベーション・コンディション確認(10問)
部下の心身の状態やモチベーションを把握するための質問です。直接的に「やる気はありますか?」と聞いても本音は返ってきません。間接的に、部下の内面に触れる質問が効果的です。
- 最近、仕事をしていて楽しいと感じる瞬間はありますか?
- 逆に、仕事で「しんどいな」と感じることはありますか?
- 今のワークライフバランスに、満足していますか?
- 仕事以外で気になっていることや、心配事はありますか?
- 睡眠や体調で、気になることはありませんか?
- チームの雰囲気は、自分にとって居心地が良いですか?
- 最近、「認められた」と感じた経験はありますか?
- 今の仕事で、やりがいを感じるポイントはどこですか?
- もし何でも変えられるとしたら、今の職場で変えたいことは?
- エネルギーを充電するために、普段どんなことをしていますか?
関係構築・信頼づくり(10問)
上司と部下の信頼関係を築くための質問です。特に1on1を始めたばかりの時期や、新しいメンバーとの関係構築に有効です。「仕事の話」だけでなく「人としての関心」を示すことで、心理的安全性が高まります。
- 最近、プライベートで何かハマっていることはありますか?
- 私(上司)に対して、「もっとこうしてほしい」ということはありますか?
- チームメンバーとのコミュニケーションで、困っていることはありますか?
- 自分の強みは何だと思いますか?周囲からはどう言われますか?
- 仕事で大切にしている価値観やポリシーはありますか?
- 過去の仕事で、一番達成感を感じた経験を教えてもらえますか?
- 私のマネジメントスタイルで、やりにくいと感じることはありますか?
- チーム内で「もっとこうなったらいいのに」と思うことはありますか?
- 自分の仕事が会社やチームにどう貢献しているか、実感はありますか?
- 今の上司・部下の関係性を10点満点で表すと、何点ですか?
課題の深掘り・問題解決(10問)
部下が抱えている課題を一緒に考えるための質問です。ここで大切なのは、上司が答えを教えるのではなく、質問を通じて部下自身に考えさせること。コーチング的なアプローチで、部下の問題解決力を育てましょう。
- その問題の根本的な原因は、何だと思いますか?
- 今考えている解決策は、いくつありますか?
- もし制約がなかったら、どうやって解決したいですか?
- 過去に似たような問題を解決した経験はありますか?
- この問題を放置すると、最悪どうなると思いますか?
- 解決するために、まず最初の一歩として何ができそうですか?
- 誰かに相談するとしたら、誰に聞くのが良さそうですか?
- この状況を、相手の立場から見るとどう見えると思いますか?
- うまくいっている部分は何ですか?それを活かせませんか?
- 次の1on1までに、一つだけ試してみるとしたら何をしますか?
部下のタイプ別・1on1アプローチ法
同じ質問でも、部下のタイプによって効果が大きく変わります。ここでは、代表的な4つのタイプ別に、1on1での効果的なアプローチ方法を解説します。
新人・若手社員の場合
入社1〜3年目の若手は、そもそも「何がわからないかがわからない」状態にあることが多いです。抽象的な質問をしても答えに困るため、具体的で答えやすい質問から始めるのがポイントです。
- 「今週、一番印象に残った仕事は?」(具体的な範囲を絞る)
- 「研修で学んだことで、実際に使えたものはある?」(学びと実践をつなげる)
- 「先輩の仕事を見ていて、真似したいと思ったことは?」(ロールモデルを意識させる)
若手には、フィードバックの頻度を高くすることも重要です。月1回の1on1だけでなく、週に1回の短い会話(15分程度)を組み合わせることで、不安を早期に解消できます。
ベテラン・経験豊富な社員の場合
経験豊富なベテランに対して、基本的な業務確認の質問ばかりしていると「管理されている」と感じさせてしまいます。ベテランには「意見を求める」「判断を委ねる」質問が効果的です。
- 「このプロジェクトの方向性について、率直な意見を聞かせてほしい」
- 「チーム全体の課題として、何が一番気になっている?」
- 「後輩の育成で、私にサポートしてほしいことはある?」
ベテランとの1on1では、上司が「聞く側」に回ることが大切です。相手の経験と知見をリスペクトしつつ、組織全体の視点で対話することで、ベテラン社員のエンゲージメントを維持できます。
内向的・寡黙な社員の場合
口数が少ない部下との1on1は、沈黙が続いて気まずくなりがちです。しかし、沈黙を恐れる必要はありません。内向的な人は、頭の中で考えを整理してから発言するタイプが多いため、質問のあとに十分な「待ち時間」を取ることが大切です。
- オープンクエスチョンではなく、選択肢を示す(「A案とB案、どちらが良いと思う?」)
- 事前に質問項目を共有しておく(考える時間を与える)
- チャットやメモでの事前共有を取り入れる(話すのが苦手でも書くのは得意な人は多い)
最も大切なのは、「話してくれたこと」に対して丁寧にリアクションすることです。「話しても意味がない」と感じさせてしまうと、次から口を閉ざしてしまいます。
モチベーションが低下している社員の場合
明らかに意欲が下がっている部下に対して、「やる気を出せ」と言っても逆効果です。まずは原因を探ることが先決ですが、直接的に「なぜやる気がないの?」と聞いても防衛反応を引き起こすだけです。
- 「最近、仕事をしていて楽しいと思える瞬間はある?」(ポジティブな側面から入る)
- 「今の仕事の中で、自分に合っていないなと感じる部分はある?」(仕事内容の適性を確認)
- 「仕事以外で、何か気になっていることはない?」(プライベートの問題を確認)
モチベーション低下の原因は、業務内容、人間関係、プライベート、健康問題など多岐にわたります。決めつけずに、複数の角度から丁寧に探る姿勢が求められます。
1on1で避けるべきNG質問7選
良い質問がある一方で、1on1で絶対に避けるべき質問も存在します。以下のNG質問を無意識に使っていないか、チェックしてみてください。
NG1:「最近どう?」
一見フレンドリーな質問ですが、あまりに漠然としていて何を答えればいいかわかりません。「まあ、普通です」という返答で会話が止まるのが定番です。「今週の仕事で、一番印象に残ったことは?」のように、具体的に聞きましょう。
NG2:「なぜできなかったの?」
「なぜ(Why)」で始まる質問は、責められていると感じさせやすいものです。「何が障害になったと思う?」「次にうまくやるために、何を変えればいいと思う?」のように、未来志向の質問に置き換えましょう。
NG3:「何か困っていることはない?」(毎回同じ)
この質問自体は悪くありませんが、毎回同じ質問を繰り返すと形骸化します。「ない」と答えるのが楽になり、本当の課題が出てこなくなります。質問のバリエーションを増やしましょう。
NG4:「私の若い頃はこうだったんだけど」
質問ではなく自分語りになっています。1on1は上司が話す場ではなく、部下が話す場です。自分の経験を共有すること自体は悪くありませんが、1on1の大半を上司が話しているなら、それは1on1ではなく「説教」です。
NG5:「評価に影響するけど、正直に言って」
心理的安全性を完全に破壊する質問です。1on1で話した内容が人事評価に直結すると部下が感じた瞬間、本音は一切出てこなくなります。1on1と人事評価面談は、明確に分けてください。
NG6:「AさんとBさん、どっちが仕事できると思う?」
部下同士を比較させる質問は、チーム内の信頼関係を損ないます。また、「自分も他の場で比較されているのではないか」という不信感を生みます。個人の成長は、その人自身の過去と比較して語りましょう。
NG7:「忙しいから手短にお願い」
1on1の冒頭でこう言われたら、部下は「自分の話は重要ではないのだ」と感じます。1on1の時間は、部下のための時間です。どうしても時間が取れない場合は、短時間でも集中して向き合うか、日程を変更しましょう。
1on1の質問力を高めるための3つの習慣
質問リストを手元に置いておくだけでは、1on1の質は上がりません。日常的に「質問力」を磨く習慣を身につけることが、長期的な1on1の改善につながります。
習慣1:1on1の直後に振り返りメモを書く
1on1が終わったら、5分だけ時間を取って振り返りましょう。「今日の質問で、部下が一番反応したのはどれか」「もっと深掘りすべきだった話題はなかったか」を記録しておくと、次回の質問の精度が格段に上がります。
習慣2:部下の「変化」に日頃からアンテナを張る
1on1の場だけで部下を理解しようとしても限界があります。普段の業務中に部下の表情、発言、行動の変化に気づいていれば、1on1でピンポイントに質問できます。「先週の会議で少し元気がなかったように見えたけど、何か気になることがあった?」のように具体的に聞けるのは、日常の観察があってこそです。
習慣3:自分自身も1on1を受ける側になる
上司自身が「質問される側」の経験を持つことで、どんな質問が答えやすく、どんな質問が答えにくいかを体感できます。自分の上司との1on1を積極的に活用するか、同僚とのピアコーチングを試してみてください。部下の気持ちがわかるようになり、質問の質が自然と向上します。
まとめ:1on1は「質問」で決まる
1on1ミーティングの成否は、上司がどんな質問を投げかけるかにかかっています。本記事で紹介した50の質問を、ぜひ明日の1on1から取り入れてみてください。
ポイントを整理します。
- 目的に合わせて質問を選ぶ:業務確認、キャリア支援、モチベーション、関係構築、課題解決の5分類を使い分ける
- 部下のタイプに合わせてアプローチを変える:新人には具体的に、ベテランには意見を求め、内向的な部下には待つ
- NG質問を避ける:漠然とした質問、追い詰める質問、比較する質問は信頼を壊す
- 質問力は習慣で磨く:振り返り、日常観察、自分も受ける側になることで向上する
完璧な質問をする必要はありません。大切なのは、「あなたのことを知りたい、あなたの成長を支えたい」という姿勢が質問を通じて伝わることです。質問は単なるテクニックではなく、部下に対する関心と敬意の表れです。
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