ビジネストレンド 2026.05.01

AI活用企業の29%が配置転換検討|2026年の調査が示す中小企業の対応策

AI活用企業の29%が配置転換検討|中小企業の対応策

2026年4月27日、東京商工リサーチが「2026年4月 生成AIに関するアンケート調査」の結果を発表しました。注目すべきは、生成AIを組織として活用している企業のうち28.9%が「5年内に従業員を配置転換する可能性がある」と答えた点です(日本経済新聞 2026年4月27日)。

大企業では46.7%、中小企業では26.6%。約20ポイントの差がありますが、いずれも前回調査(2025年8月)から方針未決定が大きく減り、企業が本気で組織再編に向かい始めたことが読み取れます。本記事では、この調査が中小企業の経営者・従業員に何を意味するのか、そしていま準備すべきことを整理します。

調査結果の要点

東京商工リサーチが2026年4月時点で集計した主な数字は次のとおりです。

  • 生成AIを「会社として活用を推進」している企業: 20.3%(1,289社)
  • そのうち、人員構成への影響を想定している企業: 53.4%
  • 5年内に配置転換の可能性「ある」: 28.9%(大企業46.7% / 中小26.6%)
  • 5年内にホワイトカラーの早期退職募集の可能性「ある」: 3.6%(全211社)
  • 「方針未決定」: 37.5%(前回50.9%から大幅低下)

この数字から見えるのは、「AIで人を辞めさせる」より「AIで人を配り直す」方向に企業が動いているという現実です。早期退職を視野に入れる企業はまだ少数派で、当面は配置転換と業務再設計が主戦場になります。

大企業47% vs 中小26%の差をどう読むか

20ポイントの差は、AI導入度合いの差そのものを反映しています。大企業はDX投資が先行しており、AIによって自動化された業務の余剰人員をどう動かすかが、すでに具体的な経営アジェンダになっています。一方、中小企業ではまだ「AIで何をどこまで自動化できるか」を見極めている段階にあり、配置転換の議論はその次の段階です。

ただし、この差は安心材料ではありません。大企業の動きを2〜3年遅れで中小企業がトレースする傾向は、これまでのIT化・働き方改革・DXでも繰り返されてきたパターンです。2026年に大企業が動いた人事再設計は、2028〜2029年に中小企業の現実になると見ておくのが妥当です。

「配置転換」が意味すること

配置転換は、解雇とは異なる人員調整の手段です。具体的には次のような動きになります。

  • 定型業務がAIに置き換わった部署から、対人折衝・営業・新規事業へのシフト
  • バックオフィスの人員を、企画・分析・顧客対応へ移す
  • AIの監督・運用を担う「人とAIの橋渡し役」ポジションの新設
  • 業務量が増えにくい部門への「ぶら下がり」を防ぐための再配分

言い換えれば、業務の中身が大きく変わる人が増える、ということです。同じ会社にいても、3年前と今ではやっている仕事の半分が違う――そんな状態が、中小企業でも徐々に広がっていきます。

従業員側がいま準備すべき3つのこと

1. 自分の業務のうち、何が自動化対象かを棚卸しする

もっとも重要なのが、自分の業務をAIに置き換えられる工程と、人にしか置き換えられない工程に切り分けて理解することです。

  • 定型的な転記・集計・要約 → 高確率で自動化対象
  • 判断・調整・対人折衝 → 当面は人の領域
  • 創造的な企画立案・コンセプト設計 → 人とAIの協業が中心

業務日報の1週間分を見直して、AIに任せられる工程と人がやるべき工程に色分けしてみるだけで、自分のキャリアの守備範囲が見えてきます。

2. 「AIを使う側」に立つためのリスキリング

AIに置き換えられないために、もっとも有効なのはAIを使いこなす側に回ることです。具体的には、生成AIへの指示出し(プロンプト設計)、業務フローの再設計、AIに任せる業務と人がやる業務の切り分けといったスキルが、業種を問わず重宝されます。

関連して、深い回答を引き出す質問術AIハルシネーション対策などのスキルは、現場のあらゆる職種で応用が利きます。

3. 対人領域の専門性を磨く

AIが得意なのは、データに基づく作業です。逆に苦手なのは、信頼関係の構築、現場の空気を読んだ判断、利害調整です。これらの「対人領域の専門性」は、今後ますます市場価値が高まります。

自分の職種で、どこに人にしかできない領域が残っているかを意識するだけで、配置転換が起きたときの選択肢が広がります。

経営者側が準備すべき4つのこと

1. AI導入と人員計画をセットで設計する

AIツールを導入してから人員を考えるのではなく、最初から「導入後に人をどう動かすか」をセットで設計することが重要です。バックオフィスの効率化で生まれた時間を、営業や新規事業にどう振り向けるか。これを描けない導入は、結局現場で使われずに終わります。

2. 配置転換は「後ろ向き」ではなく「成長の再配分」と位置づける

配置転換は、伝え方を間違えると一気に離職リスクに変わります。「あなたの仕事を奪うため」ではなく「会社の成長領域に人を厚く張るため」というメッセージで、経営側から先回りして説明する姿勢が必要です。

3. リスキリング機会を制度として用意する

従業員に「自分で学べ」と任せるのは限界があります。社内研修・外部研修・OJTを組み合わせて、業務時間の中で学ぶ機会を制度として整える必要があります。とくに、AIの使い方・新業務に必要なスキル・対人能力強化の3軸を押さえるのがおすすめです。

4. 早期退職募集は最後の手段にする

調査では早期退職募集を視野に入れる企業は3.6%にとどまっています。中小企業ではさらに少数派です。安易に人員整理に走るのではなく、配置転換と業務再設計で競争力を保つのが現実解です。

「方針未決定」が大幅低下した意味

もう一つ注目すべきが、「方針未決定」の企業が前回50.9%から37.5%へと13ポイント以上低下した点です。これは、企業がAI活用の影響を真剣に意思決定の俎上に載せ始めたことを示しています。

「うちはまだ早い」と様子見を続けている企業は、相対的に動きが遅くなっています。GW明けの2026年5月以降、人事戦略にAIを織り込む議論を始めるのが、中小企業にとって現実的なタイミングです。

まとめ: AIは仕事を奪わない、配り直す

東京商工リサーチの調査が示すのは、「AIで失職する」という極端なシナリオではなく、「AIで業務が変わり、配り直しが起こる」という現実的な未来です。重要なポイントを整理します。

  1. 生成AI活用企業の29%が5年内の配置転換を検討
  2. 大企業47%・中小26%の差は2〜3年で縮まる可能性が高い
  3. 従業員はAIで置き換わる工程を見極め、対人・創造領域へシフト
  4. 経営者はAI導入と人員計画をセットで設計し、配置転換を成長機会として伝える
  5. 早期退職より配置転換が主流。中小企業はリスキリング制度の整備が急務

株式会社Sei San Seiでは、中小企業のMINORI Cloudによる業務自動化と、MINORI Learningによる現場のリスキリング研修をセットでご支援しています。「AI導入はしたが、現場の役割が決められない」「配置転換を社内で説明する材料がほしい」といった課題があれば、お気軽にご相談ください。

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