調査レポート(Sei San Sei調べ)

福岡の生産性レポート2026
福岡県の労働生産性は全国29位・福岡市は政令市12位

開業率7年連続日本一の福岡市、人口増が続く福岡県——「勢いのあるまち」の労働生産性は、実は全国平均を大きく下回っています。株式会社Sei San Sei(福岡市中央区)は、福岡県が2026年3月に公表した最新の2023年度県民経済計算と、内閣府の全国統計を独自に集計し、福岡の生産性の現在地をデータでまとめました。

公開日:2026年7月9日|集計・執筆:株式会社Sei San Sei|本レポートの図表・データは出典明記で転載自由です

本レポートのデータ年次について:都道府県別のGDP統計(県民経済計算)は推計に約3年を要するため、47都道府県・政令指定都市を比較できる最新年度は2022年度(内閣府・2025年11月公表)です。福岡県・県内市町村の詳細には、福岡県が2026年3月に公表した最新の2023年度データを使用しています。これは2026年時点で入手可能な最新の公的統計であり、各図表に対象年度を明記しています。

福岡県の労働生産性
(2022年度・全国比較)

778.3万円

全国29位/平均901.2万円

福岡市の労働生産性
(2022年度・政令市比較)

12位/16市

807.3万円(北九州市は6位)

福岡県の労働生産性
(2023年度・県公表ベース)

818.1万円

県内総生産21.24兆円

全国順位の推移
(2011→2022年度)

24位29

この10年で5ランク低下

47都道府県ランキング——福岡県は29位

都道府県別の労働生産性(就業者1人当たり名目県内総生産)を、47都道府県のデータが揃う最新年度である2022年度の県民経済計算(内閣府)から独自集計しました。福岡県は778.3万円で全国29位。全国平均の901.2万円を約123万円下回り、対全国比は86%にとどまります。

1位は東京都(1,226.0万円)、2位は自動車産業を擁する愛知県(1,043.5万円)。上位には茨城県・滋賀県・山口県など、大規模な製造業・素材産業が集積する県が並びます。福岡県は人口・経済規模では全国9位前後の「大きな県」ですが、1人当たりの付加価値で見ると中位以下——これが本レポートの出発点です。

図1|都道府県別 労働生産性ランキング(2022年度)

就業者1人当たり名目県内総生産(万円)。オレンジ=福岡県、点線=全国平均

都道府県別労働生産性ランキング(2022年度)3006009001,200東京都: 1,226万円1 東京都1,226愛知県: 1,043.5万円2 愛知県茨城県: 995.1万円3 茨城県滋賀県: 986.6万円4 滋賀県山口県: 975.4万円5 山口県静岡県: 964.6万円6 静岡県和歌山県: 940.8万円7 和歌山県兵庫県: 931.4万円8 兵庫県徳島県: 929.1万円9 徳島県三重県: 928万円10 三重県栃木県: 921.7万円11 栃木県群馬県: 920.8万円12 群馬県富山県: 882.2万円13 富山県大分県: 863.8万円14 大分県京都府: 857.3万円15 京都府大阪府: 856.4万円16 大阪府山梨県: 852.3万円17 山梨県長野県: 851.8万円18 長野県福島県: 851.4万円19 福島県広島県: 847.3万円20 広島県福井県: 831.7万円21 福井県香川県: 822.5万円22 香川県岐阜県: 821.1万円23 岐阜県神奈川県: 818.3万円24 神奈川県千葉県: 808万円25 千葉県宮城県: 796.8万円26 宮城県埼玉県: 786.4万円27 埼玉県新潟県: 784.6万円28 新潟県福岡県: 778.3万円29 福岡県778.3岡山県: 774.1万円30 岡山県石川県: 771.1万円31 石川県鹿児島県: 769.8万円32 鹿児島県北海道: 766.8万円33 北海道岩手県: 761.5万円34 岩手県愛媛県: 755.5万円35 愛媛県山形県: 755.1万円36 山形県佐賀県: 753.2万円37 佐賀県熊本県: 751.2万円38 熊本県秋田県: 751万円39 秋田県奈良県: 736.1万円40 奈良県島根県: 718.3万円41 島根県青森県: 713万円42 青森県長崎県: 695.8万円43 長崎県宮崎県: 695万円44 宮崎県高知県: 681.3万円45 高知県鳥取県: 631.6万円46 鳥取県沖縄県: 608.8万円47 沖縄県608.8全国平均 901.2

出典:内閣府「県民経済計算(2022年度)」を基に株式会社Sei San Sei作成

47都道府県の完全ランキング表を開く
順位都道府県労働生産性
1位東京都1,226万円
2位愛知県1,043.5万円
3位茨城県995.1万円
4位滋賀県986.6万円
5位山口県975.4万円
6位静岡県964.6万円
7位和歌山県940.8万円
8位兵庫県931.4万円
9位徳島県929.1万円
10位三重県928万円
11位栃木県921.7万円
12位群馬県920.8万円
13位富山県882.2万円
14位大分県863.8万円
15位京都府857.3万円
16位大阪府856.4万円
17位山梨県852.3万円
18位長野県851.8万円
19位福島県851.4万円
20位広島県847.3万円
21位福井県831.7万円
22位香川県822.5万円
23位岐阜県821.1万円
24位神奈川県818.3万円
25位千葉県808万円
26位宮城県796.8万円
27位埼玉県786.4万円
28位新潟県784.6万円
29位福岡県778.3万円
30位岡山県774.1万円
31位石川県771.1万円
32位鹿児島県769.8万円
33位北海道766.8万円
34位岩手県761.5万円
35位愛媛県755.5万円
36位山形県755.1万円
37位佐賀県753.2万円
38位熊本県751.2万円
39位秋田県751万円
40位奈良県736.1万円
41位島根県718.3万円
42位青森県713万円
43位長崎県695.8万円
44位宮崎県695万円
45位高知県681.3万円
46位鳥取県631.6万円
47位沖縄県608.8万円

10年推移——金額は伸びても順位は低下

福岡県の労働生産性は2011年度の744.5万円から2022年度の778.3万円へと約4.5%増加しました。しかし全国順位で見ると24位→29位へと5ランク低下。特に2018年度以降は30位前後で推移しており、コロナ禍の2020年度には33位まで下がりました。金額の伸びが他県より緩やかである——つまり相対的な地盤沈下が起きていることが分かります。

図2|福岡県の労働生産性の推移(2011〜2022年度)

就業者1人当たり名目県内総生産(万円)。各点にカーソルを合わせると全国順位を表示

70074078082020112013201520172019202120222011年度: 744.5万円(全国24位)2012年度: 734.1万円(全国25位)2013年度: 749.4万円(全国25位)2014年度: 751.8万円(全国26位)2015年度: 771.5万円(全国27位)2016年度: 778.7万円(全国25位)2017年度: 787.4万円(全国27位)2018年度: 781.2万円(全国30位)2019年度: 772.1万円(全国31位)2020年度: 733.7万円(全国33位)2021年度: 762.6万円(全国32位)2022年度: 778.3万円(全国29位)778.3万円744.5

出典:内閣府「県民経済計算(2022年度)」を基に株式会社Sei San Sei作成

年度別の数値・全国順位の表を開く
年度労働生産性全国順位
2011年度744.5万円24位
2012年度734.1万円25位
2013年度749.4万円25位
2014年度751.8万円26位
2015年度771.5万円27位
2016年度778.7万円25位
2017年度787.4万円27位
2018年度781.2万円30位
2019年度772.1万円31位
2020年度733.7万円33位
2021年度762.6万円32位
2022年度778.3万円29位

なお、福岡県が2026年3月に公表した最新の2023年度県民経済計算では、県内総生産は21.24兆円、労働生産性は818.1万円まで伸びています(47都道府県分は未出揃のため全国順位は算出不能)。さらに直近の景気動向を示す福岡県の四半期別GDP速報(2025年10〜12月期・2026年3月公表)では、名目成長率は前年同期比+3.0%と拡大が続く一方、実質は前期比▲0.5%であり、物価上昇分を除いた実質の成長には足踏みが見られます。

政令指定都市比較——福岡市12位、北九州市6位

「元気な都市」の代名詞である福岡市はどうでしょうか。政令指定都市16市の比較では、福岡市は807.3万円で12位と中位以下。1位の堺市(1,188.5万円)とは約380万円の差があります。上位は堺市・神戸市・名古屋市・千葉市・大阪市と、製造業や港湾・重化学工業の集積地が並びます。

注目すべきは北九州市が902.5万円で6位と、福岡市を約95万円上回っていることです。人口や開業数の勢いでは福岡市が圧倒しますが、鉄鋼・化学・自動車など装置型産業が集積する北九州市のほうが、働く人1人当たりが生み出す付加価値は大きい——「都市の賑わい」と「生産性」は別物であることを示す好例です。

図3|政令指定都市 労働生産性ランキング(2022年度)

就業者1人当たり名目市内総生産(万円)。濃いオレンジ=福岡市、薄いオレンジ=北九州市

政令指定都市の労働生産性ランキング(2022年度)3006009001,200堺市: 1,188.5万円1 堺市1,188.5神戸市: 989.2万円2 神戸市989.2名古屋市: 968.7万円3 名古屋市968.7千葉市: 965.1万円4 千葉市965.1大阪市: 939.8万円5 大阪市939.8北九州市: 902.5万円6 北九州市902.5横浜市: 860.8万円7 横浜市860.8京都市: 859.8万円8 京都市859.8浜松市: 837.7万円9 浜松市837.7川崎市: 822.9万円10 川崎市822.9広島市: 819.4万円11 広島市819.4福岡市: 807.3万円12 福岡市807.3岡山市: 790.7万円13 岡山市790.7仙台市: 786.7万円14 仙台市786.7新潟市: 779.4万円15 新潟市779.4札幌市: 731.6万円16 札幌市731.6

出典:内閣府「県民経済計算(2022年度)」を基に株式会社Sei San Sei作成

政令指定都市16市の完全ランキング表を開く
順位都市労働生産性
1位堺市1,188.5万円
2位神戸市989.2万円
3位名古屋市968.7万円
4位千葉市965.1万円
5位大阪市939.8万円
6位北九州市902.5万円
7位横浜市860.8万円
8位京都市859.8万円
9位浜松市837.7万円
10位川崎市822.9万円
11位広島市819.4万円
12位福岡市807.3万円
13位岡山市790.7万円
14位仙台市786.7万円
15位新潟市779.4万円
16位札幌市731.6万円

九州8県比較——1位は大分県

九州・沖縄8県では、製鉄・石油化学・半導体関連の大型工場が集積する大分県が863.8万円で1位。福岡県は778.3万円で2位につけますが、九州の経済首都でありながら大分県に85万円以上の差をつけられています。3位以下は鹿児島県・佐賀県・熊本県と続き、沖縄県(608.8万円)は全国でも最下位圏です。

図4|九州・沖縄8県の労働生産性(2022年度)

就業者1人当たり名目県内総生産(万円)。オレンジ=福岡県

九州・沖縄8県の労働生産性(2022年度)200400600800大分県: 863.8万円大分県863.8福岡県: 778.3万円福岡県778.3鹿児島県: 769.8万円鹿児島県769.8佐賀県: 753.2万円佐賀県753.2熊本県: 751.2万円熊本県751.2長崎県: 695.8万円長崎県695.8宮崎県: 695万円宮崎県695沖縄県: 608.8万円沖縄県608.8

出典:内閣府「県民経済計算(2022年度)」を基に株式会社Sei San Sei作成

福岡県の産業別労働生産性

福岡県の最新2023年度データ(福岡県公表)で産業別に見ると、生産性の高低がはっきり分かれます。高いのは電気・ガス・水道業等(2,440万円)、金融・保険業(1,605万円)、情報通信業(1,246万円)など資本集約型・知識集約型の産業。一方、県内の就業者が最も多い卸売・小売業(41.4万人)は665万円、2番目に多い保健衛生・社会事業(40.7万人)は565万円と、雇用の受け皿となっている産業ほど生産性が低い構造です。宿泊・飲食サービス業は270万円と特に低く、人手に頼る労働集約型サービスの改善余地の大きさを示しています。

図5|福岡県の産業別労働生産性(2023年度)

就業者1人当たり名目県内総生産(万円)。※不動産業は持ち家の帰属家賃を含むため突出して高く表示されます

福岡県の産業別労働生産性(2023年度)3006009001,2001,5001,8002,1002,4002,7003,0003,3003,6003,9004,2004,5004,8005,1005,400不動産業※: 5,334万円不動産業※5,334電気・ガス・水道業等: 2,440万円電気・ガス・水道業等2,440金融・保険業: 1,605万円金融・保険業1,605情報通信業: 1,246万円情報通信業1,246鉱業: 1,231万円鉱業1,231製造業: 960万円製造業960公務: 849万円公務849運輸・郵便業: 763万円運輸・郵便業763専門・業務支援サービス業: 760万円専門・業務支援サービス業760教育: 754万円教育754卸売・小売業: 665万円卸売・小売業665保健衛生・社会事業: 565万円保健衛生・社会事業565その他のサービス: 562万円その他のサービス562建設業: 546万円建設業546宿泊・飲食サービス業: 270万円宿泊・飲食サービス業270農林水産業: 188万円農林水産業188

出典:福岡県「令和5年度福岡県県民経済計算」を基に株式会社Sei San Sei作成

産業別の労働生産性・就業者数の表を開く
産業労働生産性就業者数
不動産業5,334万円50,580人
電気・ガス・水道・廃棄物処理業2,440万円27,289人
金融・保険業1,605万円54,898人
情報通信業1,246万円80,817人
鉱業1,231万円979人
製造業960万円329,144人
公務849万円106,404人
運輸・郵便業763万円167,476人
専門・科学技術、業務支援サービス業760万円273,966人
教育754万円107,102人
卸売・小売業665万円413,717人
保健衛生・社会事業565万円406,964人
その他のサービス562万円152,873人
建設業546万円197,856人
宿泊・飲食サービス業270万円160,057人
農林水産業188万円65,974人

福岡県は県内総生産の79.2%を第三次産業が占めるサービス経済です。製造業のように機械や設備で1人当たりの産出を伸ばしにくいサービス業が雇用の中心である以上、福岡の生産性向上は「サービス業の業務効率化」がカギになります。

福岡県内60市町村ランキング

県内60市町村の労働生産性(2023年度・福岡県公表の「就業者1人当たり市町村内総生産」)では、日産自動車九州などの自動車産業が集積する苅田町が1,522.0万円で断トツの1位。県平均(818.1万円)の1.9倍、最下位の川崎町(502.7万円)の約3倍に達します。2位は鞍手町(996.3万円)、3位はみやこ町(974.2万円)です。

福岡市は871.3万円で9位、北九州市は851.2万円で11位。両政令市とも県平均は上回るものの、上位は製造業が立地する町が占めており、ここでも「工場の立地が生産性を規定する」構図が鮮明です。

図6|福岡県内市町村 労働生産性TOP15(2023年度)

就業者1人当たり名目市町村内総生産(万円)。濃いオレンジ=福岡市、薄いオレンジ=北九州市、点線=県平均

福岡県内市町村の労働生産性TOP15(2023年度)3006009001,2001,500苅田町: 1,522万円1 苅田町1,522鞍手町: 996.3万円2 鞍手町996.3みやこ町: 974.2万円3 みやこ町974.2吉富町: 972万円4 吉富町972上毛町: 969.2万円5 上毛町969.2篠栗町: 962.2万円6 篠栗町962.2宮若市: 942.9万円7 宮若市942.9朝倉市: 941.2万円8 朝倉市941.2福岡市: 871.3万円9 福岡市871.3古賀市: 870.5万円10 古賀市870.5北九州市: 851.2万円11 北九州市851.2久山町: 851.2万円12 久山町851.2小郡市: 830.4万円13 小郡市830.4小竹町: 827.7万円14 小竹町827.7筑後市: 822.9万円15 筑後市822.9県平均 818.1

出典:福岡県「令和5年度福岡県市町村民経済計算」を基に株式会社Sei San Sei作成

60市町村の完全ランキング表を開く
順位市町村労働生産性
1位苅田町1,522万円
2位鞍手町996.3万円
3位みやこ町974.2万円
4位吉富町972万円
5位上毛町969.2万円
6位篠栗町962.2万円
7位宮若市942.9万円
8位朝倉市941.2万円
9位福岡市871.3万円
10位古賀市870.5万円
11位北九州市851.2万円
12位久山町851.2万円
13位小郡市830.4万円
14位小竹町827.7万円
15位筑後市822.9万円
16位大牟田市809.3万円
17位須恵町801.5万円
18位太宰府市786.9万円
19位福津市781.4万円
20位筑紫野市780.1万円
21位水巻町778.9万円
22位行橋市772.9万円
23位直方市763.2万円
24位粕屋町762万円
25位香春町762万円
26位春日市759.1万円
27位宗像市753.6万円
28位新宮町747.6万円
29位宇美町745.6万円
30位遠賀町737.5万円
31位大野城市737万円
32位岡垣町736.1万円
33位桂川町734.8万円
34位築上町734.4万円
35位豊前市727.8万円
36位福智町725.1万円
37位芦屋町725万円
38位久留米市722万円
39位飯塚市720万円
40位筑前町708.4万円
41位中間市708.3万円
42位糸島市694.1万円
43位東峰村681.7万円
44位志免町670.5万円
45位大任町660.9万円
46位広川町657万円
47位柳川市654.4万円
48位嘉麻市653.6万円
49位大刀洗町633.9万円
50位添田町625.3万円
51位田川市591.9万円
52位みやま市585.9万円
53位うきは市582.2万円
54位大川市576.7万円
55位八女市564.1万円
56位那珂川市559.7万円
57位大木町543.9万円
58位糸田町535.9万円
59位赤村513.7万円
60位川崎町502.7万円

考察——人は集まる福岡、生産性が伸びない理由

「集まる力」と「稼ぐ力」のギャップ

福岡市の開業率は7年連続で日本一(21大都市比較・福岡市公表)。有効求人倍率は0.98倍(2026年5月・季節調整値・就業地別、厚生労働省)と全国平均の1.17倍を下回り、これは企業側から見れば「求職者が相対的に多く、人材を確保しやすい」環境を意味します。人も企業も集まり続けている——にもかかわらず、1人当たりの労働生産性は全国29位、福岡市は政令市12位。福岡の課題は「量の成長」ではなく「質(1人当たり付加価値)の成長」にあります。

構造要因:生産性の低いサービス業に雇用が集中

本レポートの産業別データが示すとおり、福岡県では就業者の多い卸売・小売業、保健衛生・社会事業、宿泊・飲食サービス業の生産性が県平均を大きく下回ります。第三次産業が県内総生産の8割を占める福岡では、この構造がそのまま県全体の数字を押し下げています。逆に、北九州市や苅田町のように装置型産業が立地する地域は高い生産性を示しており、設備・技術への投資が1人当たりの産出を引き上げることをデータが裏付けています。

この課題認識は行政とも共有されています。福岡県は「福岡県中小企業振興基本計画(2025〜2027年度)」の中で、経済センサスに基づく産業別分析から「雇用構成割合の高い卸売・小売業、医療・福祉、製造業で労働生産性が相対的に低い」と指摘し、「生産性の向上の促進」を施策の柱の一つに掲げています。データソースは異なりますが、本レポートの分析と同じ構造課題を県の公式計画も示している形です。

伸びしろ:中小企業のAI活用はまだ3社に1社

総務省「令和7年版情報通信白書」によると、生成AIの活用方針を定めている日本企業は約50%。ただし大企業の約56%に対して中小企業は約34%にとどまります。従業者の大半を中小企業が支える福岡において、この差は裏を返せば大きな伸びしろです。サービス業は製造業と違い大型設備を必要とせず、AI・デジタルツールという「小さな設備投資」で1人当たりの付加価値を引き上げられる——福岡の生産性の処方箋は、まさにここにあると当社は考えます。

株式会社Sei San Seiは、社名の由来である「生産性」の向上を使命として、福岡・天神を拠点に九州の中小企業のAI導入・業務自動化・採用支援に取り組んでいます。本レポートが、福岡の企業・自治体・メディアの皆さまが生産性を語る際の共通のデータ基盤になれば幸いです。

よくある質問

Q1. 労働生産性とは何ですか?

働く人1人がどれだけの付加価値を生み出したかを示す指標です。本レポートでは、県民経済計算の名目県内総生産(GDP)を就業者数で割った「就業者1人当たり県内総生産」を労働生産性として集計しています。

Q2. 福岡県の労働生産性は全国何位ですか?

2022年度の集計で778.3万円・全国29位です。全国平均(901.2万円)を約123万円下回ります。九州では大分県に次ぐ2位です。

Q3. 福岡市の労働生産性は政令市で何位ですか?

2022年度の集計で807.3万円・16市中12位です。開業率日本一の一方で、1人当たりの付加価値では中位以下です。北九州市(902.5万円・6位)が福岡市を上回ります。

Q4. 図表やデータは転載できますか?

出典明記と本ページへのリンクを条件に、転載・引用・改変は自由です。詳細は転載条件をご覧ください。

図表・データの転載について(転載自由)

本レポートの図表・集計データ・本文は、出典明記のうえ自由に転載・引用・改変いただけます(CC BY 4.0相当)。報道、ブログ、SNS、社内資料、研修・授業などにどうぞ。

出典表記の例:
出典:株式会社Sei San Sei「福岡の生産性レポート2026」(https://www.sei-san-sei.com/research/fukuoka-productivity-2026.html)

Webメディア・ブログでご利用の際は、本ページへのリンク設置をお願いします。取材・データの追加集計のご相談はお問い合わせフォームから。

図表画像のダウンロード(PNG・出典表記入り):
図1 都道府県ランキング図2 福岡県の推移図3 政令市ランキング図4 九州8県図5 産業別図6 県内市町村TOP15

調査方法・出典・注記

集計方法

労働生産性 = 名目県内(市町村内)総生産 ÷ 県内(市町村内)就業者数として当社が算出しました(万円未満は四捨五入表示)。市町村別は福岡県公表の「就業者1人当たり市町村内総生産」の値をそのまま使用しています。

出典(一次データ)

注記(データの取り扱い)

  • 本レポートは上記の公表統計を株式会社Sei San Seiが独自に加工・集計したものです。集計・解釈の責任はすべて当社にあり、内閣府・福岡県・総務省・厚生労働省・福岡市が本レポートの内容を保証するものではありません
  • 47都道府県・政令指定都市の比較は、全団体のデータが揃う最新年度である2022年度(内閣府、2025年公表)を使用しています。福岡県・県内市町村の詳細は、福岡県が2026年3月に公表した最新の2023年度データを使用しています。推計主体・時点が異なるため、両者の数値は直接には接続しません。
  • 労働生産性は「就業者1人当たり」であり、労働時間の違いは反映されません(時間当たり生産性とは異なります)。
  • 不動産業の生産性には持ち家の帰属家賃(自己所有住宅のみなし家賃)が含まれるため、他産業とは性格が異なります。
  • 名目値のため物価変動の影響を含みます。順位比較は同一年度内で行っています。
高橋 央

このレポートの監修者

高橋 央株式会社Sei San Sei 代表取締役CEO

株式会社リクルートキャリア(当時)にて地方転職のノウハウを社内外に共有し、北海道をはじめとする地方転職市場の拡大に寄与。2020年にベンチャー企業で人事責任者・子会社取締役を経験したのち、2023年1月に株式会社Sei San Seiを設立。DX・HR領域のサービスを展開。著書に『仕事や将来に迷った時に、若手キャリア層のこれからの描き方』がある。

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