ビジネストレンド 2026.07.17

人手不足倒産が上半期過去最多の227件——2026年上半期の倒産動向と、中小企業がいま打つべき対策

2026年上半期の倒産動向と中小企業の対策

2026年7月に帝国データバンクが公表した全国企業倒産集計によると、2026年上半期(1〜6月)の企業倒産は5,335件。前年同期から約6.6%増え、4年連続の増加となりました。上半期として5,000件を超えるのは2年連続です。

注目すべきは中身です。人手不足倒産が227件、物価高倒産が556件、後継者難倒産が312件——この3つがいずれも上半期として過去最多を更新しました。景気の波による倒産ではなく、「人がいない」「コストを転嫁できない」「継ぐ人がいない」という構造的な要因が中小企業を追い詰めていることを示すデータです。本記事では、2026年上半期の倒産動向を整理したうえで、中小企業がいま打つべき対策を解説します。

2026年上半期の倒産動向:5,335件、4年連続の増加

まず全体像を押さえましょう。帝国データバンクの集計によると、2026年上半期の倒産は以下のような状況でした。

  • 倒産件数:5,335件(前年同期比 約6.6%増、4年連続の増加)
  • 負債総額:前年同期から約7%増加
  • 業種別:小売業が1,108件(うち飲食店473件)、建設業が1,043件と、上半期として13年ぶりに1,000件超え

倒産件数そのものは、コロナ禍の資金繰り支援が終わった2023年以降、一貫して増加傾向にあります。ただし2026年上半期の特徴は、「売れないから潰れる」のではなく「経営資源が足りずに潰れる」倒産の比率が高まっていることです。それを象徴するのが、人手不足・物価高・後継者難という3つの「過去最多」です。

人手不足倒産227件——建設・サービス・運輸で深刻化

人手不足倒産とは、従業員の退職や採用難で必要な人員を確保できず、事業継続が困難になって倒産に至るケースです。2026年上半期は227件と、上半期として過去最多を更新しました。

業種別の内訳を見ると、建設業が65件で最多。次いでサービス業59件、運輸・通信業38件と続きます。共通するのは、人の稼働がそのまま売上に直結する労働集約型の業種だということです。特に建設業では「案件はあるのに、職人がいなくて受注できない」という声が多く、仕事を断ることが倒産の入り口になるという逆説的な状況が起きています。

この傾向は一時的なものではありません。現役世代の高齢化と引退は今後も続くため、正社員の人手不足感は高止まりが見込まれます。当社が以前2025年通年の人手不足倒産(427件・過去最多)を取り上げた際も同じ構造を指摘しましたが、半年でさらに記録を更新した形です。

物価高・後継者難も過去最多——中小企業を襲う「三重苦」

人手不足と並んで深刻なのが、残り2つの構造要因です。

物価高倒産は556件と、半期ベースで過去最多を大幅に更新しました。原材料費・燃料費・電気代の上昇分を販売価格に転嫁できず、売上はあっても利益が残らない状態が続いた企業が力尽きています。さらに政策金利の引き上げ局面では借入コストも増すため、資金繰りは今後いっそう厳しくなるとみられています。

後継者難倒産は312件で、こちらも上半期として過去最多です。経営者の高齢化に対して事業承継の準備が追いつかず、「業績は悪くないのに畳むしかない」というケースが増えています。

重要なのは、この3つが独立した問題ではなく連鎖していることです。人が採れないから既存社員に負荷がかかり、賃上げ原資を出すには価格転嫁か生産性向上が必要で、それができない会社には後継者も来ない——。裏を返せば、生産性の改善は3つの問題すべてに効く共通の処方箋だということです。

倒産に至る前に:中小企業が打つべき3つの対策

ではどこから手をつけるべきか。データが示す構造を踏まえると、対策は次の3つに整理できます。

対策1:「人でなくてもよい仕事」を自動化し、少人数で回る体制を作る

人手不足の解決策を「採用」だけに求めると、採用市場の競争激化に飲み込まれます。先に行うべきは、見積書作成・受発注処理・日報集計・請求業務といった定型業務をAIやRPAで自動化し、いまいる人員を現場や顧客対応に集中させることです。AIエージェントの導入は大企業だけのものではなく、小さく本番投入して広げる進め方なら中小企業でも十分に実現できます。

対策2:採用の「やり方」を見直す

それでも人の採用が必要な業務は残ります。ここで差がつくのは、求人媒体への出稿額ではなく採用プロセスの設計です。応募から面接までのスピード、候補者への連絡の丁寧さ、選考体験の質——採用CX(候補者体験)の改善は、広告費を増やさずに採用決定率を高める現実的な打ち手です。AIを使った母集団形成やスクリーニングの効率化も、担当者が少ない中小企業ほど効果が出ます。

対策3:定着と価格転嫁で「利益の漏れ」を塞ぐ

採用した人が辞めれば、採用コストも教育コストも失われます。賃金だけで引き留めるのではなく、業務負荷の平準化・育成機会・働きやすさで定着率を高めることが、結果的に最も安い人材確保策です。同時に、コスト上昇分の価格転嫁は「お願い」ではなく原価データに基づく交渉として臨むこと。自社の業務コストを数字で把握している企業ほど、転嫁交渉の成功率は高くなります。

まとめ:倒産データは「他社の話」ではなく先行指標

  • 2026年上半期の企業倒産は5,335件で4年連続増。上半期として2年連続の5,000件超え
  • 人手不足倒産227件・物価高倒産556件・後継者難倒産312件がいずれも過去最多を更新
  • 人手不足倒産は建設業65件・サービス業59件・運輸38件と労働集約型業種に集中
  • 3つの要因は連鎖しており、生産性改善が共通の処方箋になる
  • 打ち手は「自動化で少人数体制」「採用プロセスの改善」「定着と価格転嫁」の3つ

倒産統計は、同じ構造の中で経営しているすべての中小企業にとっての先行指標です。株式会社Sei San Seiでは、AIを活用した採用代行「RPaaS」で採用力の強化を、業種特化型の次世代型ERP「MINORI Cloud」で現場業務の省人化・自動化を支援しています。「人が採れない」「今の人数では回らない」という課題をお持ちの企業様は、お気軽にご相談ください。

よくある質問

Q1. 人手不足倒産とは何ですか?

従業員の退職や採用難で必要な人員を確保できず、事業継続が困難になって倒産するケースです。受注はあるのに人がいないために仕事を請けられない「稼働できない倒産」が典型です。

Q2. 2026年上半期の企業倒産はどのくらい増えましたか?

5,335件で前年同期比約6.6%増、4年連続の増加です。人手不足倒産227件・物価高倒産556件・後継者難倒産312件がいずれも上半期として過去最多を更新しました。

Q3. 人手不足倒産が多い業種はどこですか?

建設業が65件で最多、次いでサービス業59件、運輸・通信業38件です。建設業は倒産全体でも1,043件と、上半期として13年ぶりに1,000件を超えました。

Q4. 人手不足倒産を防ぐには何から始めるべきですか?

まず定型業務の自動化で「人でなくてもよい仕事」を減らし、少人数で回る体制を作ることです。そのうえで採用プロセスの改善と、定着率を高める職場づくりを並行して進めます。

Q5. 物価高倒産とは何ですか?

原材料費や燃料費などのコスト上昇分を販売価格に転嫁できず、収益が悪化して倒産するケースです。2026年上半期は556件と半期ベースで過去最多を大幅に更新しました。

高橋 央

この記事の執筆者

高橋 央株式会社Sei San Sei 代表取締役CEO

株式会社リクルートキャリア(当時)にて地方転職のノウハウを社内外に共有し、北海道をはじめとする地方転職市場の拡大に寄与。2020年にベンチャー企業で人事責任者・子会社取締役を経験したのち、2023年1月に株式会社Sei San Seiを設立。DX・HR領域のサービスを展開。著書に『仕事や将来に迷った時に、若手キャリア層のこれからの描き方』がある。

ブログ一覧へ戻る

最新記事

まずはお気軽にご相談ください

無料相談・資料請求を受け付けております

お問い合わせはこちら