離職率を下げるには? 定着率を高める組織づくりの基本
「せっかく採用したのに、半年も経たずに辞めてしまった」——中小企業の経営者や人事担当者から、こうした声を聞くことは決して珍しくありません。
離職が発生するたびに企業が負担するコストは、一般的に年収の50%から200%にのぼるとも言われています。採用にかけた広告費や面接の工数、入社後の研修コスト、そして抜けたポジションを埋めるまでの機会損失。目に見えない損失まで含めると、その影響は想像以上に大きなものです。
本記事では、離職率が高くなる根本的な原因を整理したうえで、定着率を高めるための実践的な施策を5つご紹介します。
離職率が高い組織の共通点
離職率に悩む企業には、いくつかの共通するパターンがあります。自社に当てはまるものがないか、一つずつ確認してみてください。
入社前後のギャップが大きい
求人票や面接で伝えていた内容と、実際の業務内容や職場環境にギャップがあるケースです。「聞いていた話と違う」という感覚は、入社直後のモチベーションを大きく損ないます。特に中小企業では、採用を急ぐあまり仕事の魅力ばかりを強調し、現実的な課題や厳しい面を伝えきれていないことが少なくありません。
オンボーディングが不十分
入社初日から「見て覚えて」と放置される新人は、孤独感と不安を抱えます。業務マニュアルがない、教育担当が決まっていない、質問できる相手がわからない。こうした環境では、どれだけ優秀な人材でも早期離職のリスクが高まります。最初の90日間の体験が、その後の定着を大きく左右するという調査結果もあります。
成長実感がない
「この会社にいて自分は成長できるのか」という疑問は、離職を考えるきっかけとして非常に大きな割合を占めます。明確なキャリアパスが示されていない、スキルアップの機会がない、毎日同じ作業の繰り返し。こうした状況は、特に20代から30代の若手社員にとって耐えがたいものになります。
コミュニケーション不足
上司との定期的な面談がない、困ったときに相談できる相手がいない、自分の仕事が評価されているのかわからない。こうしたコミュニケーション不足は、社員の帰属意識を徐々に蝕んでいきます。特にリモートワークが増えた現在、意識的にコミュニケーションの場を設けなければ、社員は「自分はこの組織に必要とされていないのではないか」と感じてしまいます。
定着率を高める5つの施策
ここからは、離職率を改善するために実践できる具体的な施策を紹介します。すべてを一度に導入する必要はありません。自社の課題に合わせて、取り組みやすいものから着手してください。
施策1: 採用段階でのミスマッチを防ぐ
定着率の改善は、実は採用段階から始まっています。入社後のギャップを最小限に抑えるためには、リアルな情報開示(RJP: Realistic Job Preview)が効果的です。
仕事のやりがいだけでなく、大変な面や課題もあらかじめ伝えること。職場の雰囲気がわかる見学や体験入社の機会を設けること。適性検査を活用して、自社の文化や業務スタイルとの相性を事前に確認すること。これらの取り組みによって、「こんなはずじゃなかった」という離職を大幅に減らすことができます。
施策2: オンボーディングプログラムを整備する
入社後の最初の90日間を「オンボーディング期間」として設計し、段階的に業務へ適応できるプログラムを用意しましょう。
- 1週目:会社の理念・文化の理解、基本的なツールの使い方、チームメンバーとの顔合わせ
- 1ヶ月目:基本業務の習得、メンターとの定期面談開始、小さな成功体験を積む
- 3ヶ月目:独立した業務遂行、振り返り面談、今後の目標設定
また、メンター制度を導入し、業務の相談だけでなく社内の人間関係や暗黙のルールについても気軽に聞ける先輩社員を割り当てることが重要です。新人にとって「いつでも頼れる人がいる」という安心感は、定着率に直結します。
施策3: 定期的な1on1面談を実施する
月に1回、最低でも30分の1on1面談を上司と部下の間で実施しましょう。ここで重要なのは、業務報告の場ではなく、部下の本音を引き出す場にすることです。
「最近、仕事で困っていることはないか」「やりがいを感じている瞬間はどんなときか」「将来どんなキャリアを描いているか」。こうした問いかけを通じて、社員が抱える不満や不安を早期にキャッチできます。小さな火種のうちに対処すれば、離職という大きな損失を防ぐことができるのです。
施策4: キャリアパスを明確にする
「この会社で3年後、5年後にどんな姿になれるのか」が見えている社員は、簡単には辞めません。役職や給与だけでなく、スキルの成長ロードマップを示すことが大切です。
たとえば、営業職であれば「1年目:基本スキル習得 → 2年目:主要顧客担当 → 3年目:後輩育成・チームリーダー」といった具体的なステップを提示する。社内勉強会や外部研修の機会を設け、成長を会社として支援する姿勢を見せることも効果的です。
施策5: 業務負荷を適正化する
慢性的な長時間労働や、本来やるべき仕事とは関係のない雑務に追われている状態は、確実に離職率を押し上げます。ここで重要なのは、「頑張る」のではなく「仕組みで解決する」という発想です。
定型的なデータ入力、レポート作成、経費精算といったルーティンワークは、BPaaS(Business Process as a Service)を活用して外部化・自動化することで大幅に削減できます。社員が本来注力すべきコア業務、つまり顧客対応や企画立案、チームマネジメントに集中できる環境を整えることが、結果として「この会社で働き続けたい」という気持ちにつながります。
「採用の質」が定着率を決める
ここまで定着率を高める施策を紹介してきましたが、最も根本的な要素は「誰を採用するか」です。スキルや経験だけで採用を判断していると、入社後のミスマッチは避けられません。
大切なのは、入社後に活躍できるかどうかという視点で採用を行うことです。企業の文化に合うか、チームとの相性はどうか、本人の志向と業務内容にズレはないか。こうした観点を採用プロセスに組み込むことで、定着率は飛躍的に改善します。
Sei San Seiが提供する人材紹介サービス「MINORI Agent」は、まさにこの「入社後の活躍」を重視したマッチングを行っています。単に条件が合う人材を紹介するのではなく、企業の組織文化や成長フェーズを深く理解したうえで、長く活躍できる人材をご紹介する。だからこそ、紹介した人材の定着率が高いのです。
まとめ
離職率の改善は、単一の施策で実現できるものではありません。採用の質を高め、受け入れ体制を整え、社員一人ひとりと向き合い、業務環境を改善する。この一連のサイクルを回し続けることで、初めて「辞めない組織」が実現します。
- 離職の根本原因は「ギャップ」「放置」「成長停滞」「孤立」にある
- 採用段階からのミスマッチ防止が最も効果的な投資
- オンボーディングと1on1で早期離職を防ぐ
- 定型業務の外部化で、社員がコア業務に集中できる環境をつくる
Sei San Seiでは、MINORI Agentによる「活躍人材の採用支援」とBPaaSによる「業務負荷の適正化」を組み合わせ、採用から定着までを一気通貫でサポートしています。「採用しても定着しない」というお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。