生産性 2026.02.27

生産性向上に使える補助金・助成金ガイド|中小企業が申請できる支援制度一覧

生産性向上に使える補助金・助成金ガイド|中小企業が申請できる支援制度一覧

「生産性を上げたい。でも設備投資やIT導入にかけるお金がない」——中小企業の経営者が最も頻繁に口にする悩みの一つです。限られた資金の中で人件費や固定費をやりくりしながら、さらに新しいシステムや設備に投資するのは、簡単なことではありません。

しかし、国や自治体が提供する補助金・助成金を活用すれば、自己負担を大幅に抑えながら生産性向上に必要な投資を実現できます。実際、IT導入補助金やものづくり補助金は毎年多くの中小企業に採択されており、数十万円から数千万円規模の支援を受けることが可能です。

本記事では、中小企業の生産性向上に使える主要な補助金・助成金を網羅的に解説します。それぞれの制度の概要、対象経費、補助額の目安、そして申請のコツまでまとめました。「生産性」完全ガイドと合わせてお読みいただくことで、「何に投資すべきか」と「その資金をどう確保するか」の両方が見えてくるはずです。

ご注意:補助金・助成金の制度内容、補助額、申請要件、スケジュールは年度や公募回によって変更されることがあります。本記事は制度の概要をお伝えすることを目的としており、最新の公募要領は各制度の公式サイトで必ずご確認ください。

なぜ補助金活用が生産性向上の近道なのか

生産性を高めるためには、何らかの「投資」が必要です。業務効率化のためのITツール、製造ラインの自動化設備、社員のスキルアップ研修——いずれもコストがかかります。「生産性」完全ガイドで解説している通り、生産性とは「投入した資源に対する成果の比率」です。つまり、成果を増やすためにはまず適切な資源を投入する必要があるのです。

ここで補助金・助成金が力を発揮します。補助金を活用すれば、投資のうち2分の1から3分の2を国が負担してくれるケースが多く、実質的な自己負担を大幅に抑えることができます。

補助金と助成金の違い

まず、よく混同される「補助金」と「助成金」の違いを整理しておきましょう。

  • 補助金:主に経済産業省や中小企業庁が所管。審査があり、採択されないと受給できない。事業計画の質が問われる
  • 助成金:主に厚生労働省が所管。要件を満たせば原則として受給できる。雇用や労働条件の改善が要件になることが多い

いずれも返済不要の資金であることが共通しています。融資と違い、返す必要がないのが最大のメリットです。ただし、いずれも「後払い」が基本で、先に自己資金で支出し、事業完了後に補助金が支給される仕組みです。この点は申請前に資金計画をしっかり立てておく必要があります。

IT導入補助金

制度の概要

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際の費用を一部補助する制度です。経済産業省の外郭団体が運営しており、業務効率化や売上向上に資するITツールの導入を支援します。

ソフトウェア、クラウドサービス、セキュリティ対策など、幅広いIT関連費用が補助の対象となります。例年、複数の申請枠が用意されており、枠によって補助額や補助率が異なります。

対象経費の例

  • 会計ソフト、受発注システム、決済ソフトなどの業務用ソフトウェア
  • クラウドサービスの利用料(一定期間分)
  • セキュリティ製品の導入費用
  • PC・タブレット等のハードウェア(枠による)
  • 導入に伴うコンサルティング・研修費用

補助額の目安

補助額は申請枠によって大きく異なりますが、数十万円から最大数百万円程度の補助を受けることが可能です。補助率はおおむね2分の1から4分の3程度で、小規模事業者や特定の条件を満たす企業には高い補助率が適用される場合もあります。

申請のポイント

IT導入補助金の特徴は、「IT導入支援事業者」と呼ばれる登録事業者とのマッチングが必要な点です。申請者が自分でITツールを選んで直接申請するのではなく、IT導入支援事業者が提供するITツールの中から選び、支援事業者と連携して申請を行います。

したがって、まずは自社の課題に合ったIT導入支援事業者を見つけることが第一歩です。公式サイトでは登録事業者の検索が可能です。

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

制度の概要

ものづくり補助金は、中小企業が生産性向上のために行う設備投資や試作品開発を支援する制度です。名称に「ものづくり」とありますが、製造業だけでなくサービス業や商業にも広く活用できます。

新製品の開発、生産プロセスの改善、新サービスの構築など、付加価値を高めるための革新的な取り組みが対象です。

対象経費の例

  • 機械装置・システム構築費(生産設備、検査装置、ITシステム等)
  • 技術導入費(知的財産権の導入に要する経費)
  • 専門家経費(コンサルタント等への謝金)
  • 運搬費、クラウドサービス利用費
  • 原材料費(試作品の開発に必要なもの)

補助額の目安

補助額は申請枠や従業員規模によって異なりますが、最大で数千万円程度の補助を受けられる枠もあります。補助率はおおむね2分の1から3分の2程度です。小規模事業者や特定の要件を満たす企業には、より高い補助率が適用されるケースもあります。

申請のポイント

ものづくり補助金の審査では、事業計画の質が採否を大きく左右します。具体的には以下の点が重視されます。

  • 革新性:既存の方法とどう違うのか、何が新しいのか
  • 実現可能性:計画を実行できる体制・能力があるか
  • 市場性:開発する製品・サービスに市場ニーズがあるか
  • 収益性:付加価値額や経常利益の向上が見込めるか

事業計画書の作成に自信がない場合は、中小企業診断士や商工会議所の支援を受けることをおすすめします。計画書の質を高めることが、採択率を上げる最も確実な方法です。

事業再構築補助金

制度の概要

事業再構築補助金は、ポストコロナ時代の経済環境の変化に対応するため、新分野展開や業態転換、事業再編などの「思い切った事業再構築」を支援する制度です。新型コロナウイルスの影響を契機に創設されましたが、その後も経済構造の変化に対応する中小企業を広く支援しています。

既存事業の延長線上ではなく、新しい事業領域への挑戦や、ビジネスモデルの根本的な転換を伴う取り組みが対象です。

対象経費の例

  • 建物費(建物の建築・改修に要する経費)
  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費、知的財産権関連経費
  • 外注費(製品・サービスの開発に必要な加工等)
  • 広告宣伝費・販売促進費
  • 研修費(事業再構築に必要な教育訓練)

補助額の目安

補助額は申請枠と企業規模によって異なりますが、数百万円から最大で数千万円規模の補助を受けられる枠が用意されています。補助率は2分の1から3分の2程度です。

申請のポイント

事業再構築補助金の最大の特徴は、「思い切った事業再構築」が要件である点です。単なる業務改善や既存設備の更新ではなく、以下のような取り組みが求められます。

  • 新分野展開:新たな製品やサービスを提供し、新たな市場に進出する
  • 業態転換:製品・サービスの提供方法を大きく変更する
  • 事業転換:主たる事業を転換する
  • 業種転換:主たる業種を転換する

「うちの会社に当てはまるのだろうか」と迷う場合は、認定経営革新等支援機関(中小企業診断士、金融機関等)に相談することで、申請の方向性を整理できます。なお、認定支援機関との連携は申請の要件にもなっています。

業務改善助成金

制度の概要

業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを行い、あわせて生産性向上のための設備投資を実施する中小企業を支援する制度です。厚生労働省が所管する「助成金」であり、要件を満たせば原則として受給できます。

対象経費の例

  • 機械設備の購入・更新(POSシステム、食洗機、業務用ソフトウェア等)
  • コンサルティング費用(業務フロー改善等)
  • 人材育成・教育訓練に要する経費

補助額の目安

助成の上限額は、賃金の引上げ額と引上げ対象者数に応じて数十万円から数百万円程度です。助成率は事業場内最低賃金の水準に応じて、4分の3から10分の9程度が適用されます。事業場内最低賃金が低い企業ほど、高い助成率が適用される傾向です。

申請のポイント

業務改善助成金の最大の要件は、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げることです。引上げ額が大きいほど、助成の上限額も高くなります。

この制度のメリットは、補助金に比べて審査のハードルが低い点です。事業計画の革新性や市場性は問われず、「賃金を引き上げて設備投資を行う」というシンプルな要件を満たせば受給できます。生産性向上の第一歩として活用しやすい制度と言えるでしょう。

小規模事業者持続化補助金

制度の概要

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する制度です。従業員数が少ない企業(商業・サービス業は常時使用する従業員5名以下、製造業その他は20名以下が目安)を対象としており、比較的少額の投資に対して活用できます。

対象経費の例

  • Webサイトの作成・改修費用
  • チラシ・パンフレット等の広報費
  • 展示会への出展費用
  • 店舗の改装費用
  • 業務効率化のための設備導入費
  • 開発費(新商品の試作等)

補助額の目安

補助上限額は数十万円から最大で200万円程度(枠による)で、補助率はおおむね3分の2です。他の補助金に比べると金額は小さいですが、そのぶん申請の手間も比較的少なく、小規模事業者にとって使い勝手の良い制度です。

申請のポイント

小規模事業者持続化補助金の申請には、商工会議所または商工会の支援を受けることが要件となっています。地域の商工会議所に相談すれば、事業計画書の作成についてもアドバイスを受けられます。

Web制作やリニューアルを検討中の小規模事業者の方にとっては、この補助金を活用して自社サイトを整備するという使い方も有効です。

補助金申請のコツ——採択率を高める7つのポイント

ここからは、上記のどの補助金にも共通する「申請のコツ」を解説します。補助金は申請すれば必ずもらえるものではなく、審査で高い評価を得るための工夫が必要です。

1. 「生産性向上」を数値で示す

補助金の審査では、定量的な目標設定が重視されます。「生産性を向上させる」という抽象的な記述ではなく、具体的な数値で示しましょう。

  • 「月間の事務処理時間を現在の80時間から40時間に削減する(50%削減)」
  • 「従業員1人あたりの付加価値額を年間500万円から600万円に引き上げる(20%向上)」
  • 「受注処理のリードタイムを平均5日から2日に短縮する」

生産性の計算方法の記事で解説している「付加価値生産性」や「物的生産性」の計算式を使えば、説得力のある数値目標を設定できます。

2. 現状の課題を具体的に記述する

「なぜこの投資が必要なのか」を審査員に理解してもらうために、現状の課題を具体的なエピソードや数値で記述しましょう。

  • 「現在、受発注管理はExcelで手作業しており、月に平均3件の入力ミスが発生している」
  • 「紙の帳票の処理に担当者が週10時間を費やしており、他の業務に時間を割けていない」

3. 導入後の効果を具体的に描く

補助金で設備やシステムを導入した結果、どのような改善が実現するのかを具体的に記述します。Before/Afterの対比で示すと、審査員にとって理解しやすくなります。

4. 加点項目を意識する

多くの補助金には、特定の条件を満たすと審査で加点される仕組みがあります。例えば以下のような項目です。

  • 経営革新計画の承認を受けている
  • 事業継続力強化計画の認定を受けている
  • 賃上げの表明をしている
  • デジタル技術を活用している
  • 特定の地域・業種に該当する

公募要領に記載されている加点項目を事前に確認し、該当するものがあれば積極的に対応しましょう。加点項目を1つでも多く押さえることが、採択率を上げる近道です。

5. 事業計画書は「第三者にわかる言葉」で書く

審査員は必ずしもあなたの業界の専門家ではありません。業界用語や略語を避け、誰が読んでも理解できる平易な言葉で事業計画書を書くことが重要です。図表やイラストを使って視覚的にわかりやすくする工夫も効果的です。

6. 専門家の力を借りる

事業計画書の作成に慣れていない場合は、中小企業診断士や商工会議所、認定経営革新等支援機関の支援を活用しましょう。多くの支援機関は無料または低コストで相談に応じてくれます。

また、補助金の申請代行サービスを提供する専門家もいます。成功報酬型の場合、採択された場合にのみ費用が発生するため、リスクを抑えて専門家の力を借りることができます。

7. スケジュール管理を徹底する

補助金の公募には申請期限が厳格に設定されています。「気づいたら締め切りを過ぎていた」というケースは実際に少なくありません。以下の点に注意してスケジュールを管理しましょう。

  • 公募開始の情報をこまめにチェックする(中小企業庁やミラサポplus等)
  • 申請に必要な書類(決算書、確定申告書、登記簿等)を事前に準備しておく
  • GビズIDの取得を早めに済ませる(電子申請に必要)
  • 申請期限の2週間前には事業計画書の初稿を完成させる

まとめ:主要補助金・助成金の比較表

最後に、本記事で紹介した主要な補助金・助成金の概要を一覧表にまとめます。

制度名 主な対象 補助額の目安 補助率の目安 ポイント
IT導入補助金 ITツール・クラウドサービス導入 最大数百万円程度 1/2〜3/4程度 IT導入支援事業者との連携が必要
ものづくり補助金 設備投資・試作品開発 最大数千万円程度 1/2〜2/3程度 事業計画の質が審査のカギ
事業再構築補助金 新分野展開・業態転換 最大数千万円規模 1/2〜2/3程度 「思い切った事業再構築」が要件
業務改善助成金 賃金引上げ+設備投資 最大数百万円程度 3/4〜9/10程度 賃金引上げが要件。審査ハードル低め
小規模事業者持続化補助金 販路開拓・生産性向上 最大200万円程度 2/3程度 小規模事業者に特化。商工会議所の支援が要件

どの制度を選ぶかは、自社の課題と投資したい内容によって変わります。ITツールの導入であればIT導入補助金、製造設備の更新であればものづくり補助金、販路開拓であれば小規模事業者持続化補助金——というように、目的に合った制度を選びましょう。

また、複数の補助金を組み合わせて活用することも可能です(ただし、同一の経費に対して複数の補助金を重複して受けることはできません)。例えば、IT導入補助金でシステムを導入し、小規模事業者持続化補助金でWebサイトを整備する、といった使い分けができます。

重要なのは、補助金はあくまで「手段」であり、「目的」ではないということです。まず自社の生産性向上に何が必要かを明確にし、その実現のために活用できる補助金を探す——この順番を間違えないようにしましょう。生産性向上の方法15選中小企業の生産性向上アクションプランで自社に必要な施策を整理した上で、資金面の裏付けとして補助金を活用するのが理想的です。

株式会社Sei San Seiでは、補助金を活用したDX推進やWeb制作(おいで安)をご支援しています。「どの補助金が使えるかわからない」「事業計画書の書き方を相談したい」という方も、お気軽にご相談ください。

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