DX推進 2026.10.28

部品表(BOM)とは|製造業の作り方と記載項目、E-BOM・M-BOMの違い、Excelから部品構成を整えて所要量計算につなげる6つの手順

部品表(BOM)とは|作り方とE-BOM・M-BOMの違い

「同じ製品なのに、設計の部品表と現場の部品リストで部品の数が合わない」「設計変更があったのに古い部品を発注してしまった」「部材の手配が担当者の頭の中にしかなく、休むと誰も発注できない」。中小製造業でこうした問題が繰り返されるとき、根っこにあるのが部品表(BOM)が整っていないことです。

部品表は、製品を何から、いくつ使ってつくるかをまとめた、生産管理の土台になる情報です。在庫管理、資材の発注、原価計算、工程管理、トレーサビリティは、どれも部品表の正しさに支えられています。逆に言えば、部品表が図面や担当者ごとのExcelに散らばったままでは、生産管理システムを入れても期待した効果は出ません。

この記事では、部品表の意味と構成の考え方、E-BOM(設計部品表)とM-BOM(製造部品表)の違い、記載項目、Excelに散らばった部品構成を整える6つの手順、部品表から必要な部品の数を計算する所要量計算の例、設計変更を管理するときの注意点を、中小工場の現場を前提に整理します。

部品表(BOM)とは|製品の「レシピ」にあたる情報

部品表は、英語でBill of Materials(ビル・オブ・マテリアルズ)と呼ばれ、頭文字をとってBOM(ボム)と呼ばれます。製品をつくるのに必要な部品・材料と、その数量、組み合わせの関係をまとめたもので、料理でいえばレシピの材料欄にあたります。

部品表の中心にあるのは、親子関係と員数です。完成品を「親」、それを構成するユニットや部品を「子」とし、親1個をつくるのに子がいくつ必要かを員数として持ちます。ユニットの下にさらに部品がある場合は、親子関係が何段にも重なり、この段の深さをレベル(階層)と呼びます。

例:製品Aの部品構成

  • 製品A(レベル0)
    • ユニットB × 2個(レベル1)
      • 部品D × 3個(レベル2)
      • ねじE × 6本(レベル2)
    • 部品C × 4個(レベル1)
    • 梱包材F × 1式(レベル1)

この例では、製品A 1台に必要な部品Dは、ユニットB 2個 × 部品D 3個 = 6個です。このように、階層をたどって員数を掛け合わせると、製品1台あたりに必要な部品の数を正確に出せます。この計算を人の手でやらずに済むようにすることが、部品表を整える大きな目的の一つです。

サマリー型とストラクチャー型

部品表の持ち方には、大きく2つの形があります。

形 持ち方 向いている場面
サマリー型 製品ごとに、使う部品と1台あたりの合計数量を1枚の一覧にまとめる 構成が浅い製品、部品の合計数を手早く知りたい購買・見積り
ストラクチャー型 親と子の組み合わせ(親品目・子品目・員数)を1行ずつ持ち、階層をたどって展開する ユニットや中間品があり、組み付けの順番や工程ごとの手配が必要な製品

サマリー型は見やすい反面、同じユニットを複数の製品で使うとき、ユニットの構成が変わるたびに全製品の一覧を直す必要があります。ストラクチャー型は親子の組み合わせを1か所で持つため、共通ユニットを変更すれば、それを使う全製品に反映されます。システムで管理する場合は、ストラクチャー型で持ち、必要に応じてサマリー型の一覧を出力するのが一般的です。

E-BOM(設計部品表)とM-BOM(製造部品表)の違い

同じ製品の部品表でも、使う部門によって必要な情報が違います。代表的なのが、設計部門が使うE-BOM(Engineering BOM、設計部品表)と、製造・生産管理部門が使うM-BOM(Manufacturing BOM、製造部品表)です。

項目 E-BOM(設計部品表) M-BOM(製造部品表)
目的 製品の機能と構造を表す 製品をどの順番で、何を手配してつくるかを表す
もとになる情報 図面、CADの構成 E-BOMに、工程・組み付け順・副資材・手配区分を加えたもの
含まれるもの 図面に描かれる部品・ユニット 図面にない接着剤・グリス・梱包材・ラベルなどの副資材、工程の途中でできる中間品
主な利用者 設計・開発 生産管理・購買・製造・原価管理

例えば設計上は「ユニットBは部品Dとねじでできている」だけでも、製造の現場では「部品Dにまず塗装をして、塗装済みの中間品をつくってから組み付ける」という段取りがあるかもしれません。M-BOMではこの塗装済み部品Dを中間品として1つの階層に加え、塗装用の塗料も副資材として持ちます。

中小工場でよく起きるのは、設計が図面と一緒に渡す部品リスト(E-BOMに近いもの)を、生産管理担当者が自分のExcelに書き写し、手で副資材や中間品を足してM-BOMとして使っているケースです。この書き写しの段階で、数量の転記ミスや設計変更の反映漏れが起きます。このほか、保守・修理で使う部品を管理するS-BOM(サービス部品表)を持つ会社もあります。

部品表に持たせる記載項目

部品表は、品目そのものの情報を持つ品目マスタと、親子の組み合わせを持つ構成の情報に分けて考えると整理しやすくなります。同じ部品の仕入先や単価を、使う製品の数だけ重複して持たないようにするためです。

区分 項目 ポイント
品目マスタ 品目コード・品名・図番 1つの品目に1つのコード。同じ部品に複数のコードを付けない
単位 個・m・kg・mLなど。購買の単位(箱・巻)と使用の単位が違う場合は換算を持つ
手配区分 内製・購買・外注(支給の有無)。誰が手配するかを決める
仕入先・リードタイム 発注から入荷までの日数。いつ発注すべきかの計算に使う
単価 材料費の積み上げ(原価計算)に使う
構成の情報 親品目・子品目 品目コードで指定する。品名の手入力にしない
員数 親1個あたりの子の数量。製品1台あたりの合計ではない点に注意
ロス率(歩留まり) 切断ロスや不良を見込んだ割増し。材料系の部品で使う
使用する工程 どの工程で使うか。工程ごとの出庫や、部品をそろえる時期の判断に使う
版数・有効期間 設計変更の前後どちらの構成かを、適用開始日や対象の製造番号で区別する

最初からすべての項目を埋める必要はありません。まずは品目コード・親品目・子品目・員数・単位・手配区分の6つがそろえば、必要な部品の数の計算と手配の担当分けができます。リードタイムや単価は、在庫管理や原価管理を仕組み化する段階で加えていきます。

Excelに散らばった部品構成を整える6つの手順

手順1:対象の製品群と使い道を決める

最初に、部品表を何に使うかを決めます。部品の発注漏れをなくしたいのか、原価を積み上げたいのか、設計変更の反映漏れを防ぎたいのかで、優先して整える項目が変わります。対象は、すべての製品を一度に扱わず、売上の大きい製品群や、手配ミスがよく起きる製品群から選びます。

手順2:今ある部品リストを集め、品目コードを統一する

設計の部品リスト、生産管理担当者のExcel、購買の発注台帳など、部品の情報が載っている資料を集めます。多くの工場で最初にぶつかるのが、同じ部品に違う名前やコードが付いている問題です。「M6ボルト」「六角ボルトM6×20」「BLT-M6-20」が同じ部品であれば、1つの品目コードにまとめます。コードの付け方(分類+連番など)を決め、新しい品目を登録する担当者と手順も決めておきます。

手順3:親子関係と員数を、ストラクチャー型で書き出す

品目コードがそろったら、製品ごとに「親品目・子品目・員数・単位」を1行ずつ書き出します。Excelで始める場合も、1行に1つの親子の組み合わせという形にしておくと、のちにシステムへ移すときにそのまま取り込めます。製品ごとの合計数量の一覧(サマリー型)は、この表から集計して作ります。共通で使うユニットは、ユニットとして1回だけ構成を書き、各製品からはユニットのコードを参照します。

手順4:工程・副資材・中間品を加えてM-BOMにする

設計の構成をもとに、現場の工程に合わせて中間品、副資材、梱包材を加えます。現場のリーダーや生産管理担当者と一緒に、実際の作業の順番をたどりながら確認すると漏れが減ります。工程の流れは、作業標準書や業務フロー図があればそれを使います。各子品目に、どの工程で使うかを紐付けておくと、工程ごとに部品をそろえる出庫や、工程管理との連携がしやすくなります。

手順5:実際の生産で突き合わせて検証する

作った部品表から1ロット分の必要部品を計算し、実際に出庫した部品や、現場で使った数と比べます。数が合わない部品は、員数の誤り、ロス率の見込み漏れ、副資材の抜け、設計変更の未反映などが原因です。数ロット分の突き合わせで差がなくなってから、発注や在庫引き当てに使い始めます。

手順6:設計変更のルールを決め、1か所で管理する

部品表は、作った時点から設計変更で古くなり始めます。設計変更の依頼から、部品表の改訂、関係部門への通知、切り替えのタイミングの決定までの流れを決め、部品表は1か所で管理します。担当者ごとのExcelのコピーが残っていると、どれが最新かわからなくなるため、正本以外は使わないルールにします。図面の版管理と合わせて進める方法は製造業のペーパーレス化事例でも紹介しています。

部品表から必要な部品の数を計算する(所要量計算の例)

部品表が整うと、生産計画からいつ、どの部品が、いくつ必要かを計算できます。この考え方をMRP(資材所要量計画)と呼びます。先ほどの製品Aを100台つくる場合で計算してみます。

総所要量:生産計画 × 員数

  • ユニットB:100台 × 2個 = 200個
  • 部品C:100台 × 4個 = 400個
  • 部品D:ユニットB 200個 × 3個 = 600個
  • ねじE:ユニットB 200個 × 6本 = 1,200本

正味所要量:在庫と発注残を差し引く

正味所要量 = 総所要量 -(引当可能な在庫 + 発注残)+ 安全在庫

部品Dの在庫が150個、すでに発注していて入荷待ちの数(発注残)が50個、安全在庫を0とすると、部品Dの正味所要量は、600 -(150 + 50)= 400個です。この400個を、ユニットBを組み立てる日から部品Dの調達リードタイムをさかのぼった日までに発注します。

この例は4品目だけですが、実際の製品では数十〜数百の品目があり、同じ部品を複数の製品で使います。Excelでこの計算を製品ごとに手で行うと、共通部品の合算漏れや、在庫の二重引き当てが起きやすくなります。部品表と在庫管理を同じ仕組みでつなぐことが、手配ミスを減らす近道です。需要の見込みから生産計画を立てる方法は製造業の需要予測AIで解説しています。

部品表を運用するときの注意点

1. 設計変更の「切り替えのタイミング」まで決める

設計変更では、新しい部品にいつから切り替えるかが問題になります。旧部品の在庫を使い切ってから切り替えるのか、指定の製造番号や日付から即時に切り替えるのかを、変更のたびに決めて記録します。品質や安全に関わる変更は即時切り替え、それ以外は在庫を使い切ってから、といった基準を作っておくと判断が速くなります。どの製品にどの版の部品を使ったかは、トレーサビリティの記録と組み合わせると後から追えます。

2. E-BOMとM-BOMを別々に手で直さない

設計変更をE-BOMだけに反映し、M-BOMを直し忘れると、現場では古い構成のまま手配が続きます。E-BOMとM-BOMを同じ品目コードでつなぎ、E-BOMの変更がM-BOM側にも通知される状態にするのが理想です。最初はシステム化できなくても、設計変更の通知書にM-BOMの改訂担当者の確認欄を設けるだけでも漏れは減ります。

3. 完璧な部品表を目指して止まらない

全製品の部品表を一度に完璧にしようとすると、整備だけで何か月もかかり、その間にも設計変更で古くなります。主要な製品群から始め、実際の手配や出庫に使いながら直していくほうが、早く正確な部品表に近づきます。

4. 原価と在庫の数字の土台であることを共有する

部品表の員数やロス率が間違っていると、材料費の積み上げも在庫の引き当ても同じように間違います。部品表は生産管理担当者だけのものではなく、見積り・原価・購買・在庫の数字の土台であることを関係部門で共有し、修正の依頼窓口を1つにします。原価の仕組み化は製造業の原価管理をExcelから移行する方法を参考にしてください。

まとめ:部品表は、生産管理のすべての数字の出発点

  • 部品表(BOM)は、製品を何から、いくつ使ってつくるかを親子関係と員数でまとめた情報。在庫・発注・原価・工程管理の土台になる
  • 持ち方はサマリー型とストラクチャー型。システムでは親子の組み合わせを1行ずつ持つストラクチャー型が基本
  • E-BOMは設計の構造を、M-BOMはつくる順番と手配を表す。M-BOMには中間品・副資材・工程の情報を加える
  • 手順は、対象と使い道の決定→品目コードの統一→ストラクチャー型で書き出し→M-BOM化→実際の生産で検証→設計変更ルールと1か所での管理の6つ
  • 部品表が整うと、生産計画×員数で総所要量を、在庫と発注残を差し引いて正味所要量を計算できる

部品表の整備は、手配ミスがよく起きる1つの製品群の部品リストを集め、品目コードをそろえるところから始められます。Excelの生産管理全体を見直す進め方は生産管理をExcelから脱却する手順を、製造業向けのクラウドサービスの選び方は製造業SaaSとはを、生産性向上の考え方は生産性完全ガイドを、製造業に絞った進め方は製造業のDX・生産性向上ガイドを参考にしてください。

株式会社Sei San SeiのMINORI Cloud 製造業版は、生成AI × RPA × 業種特化型の次世代型ERPとして、見積から部品表・所要量計算・作業指示・工程進捗・品質検査までを同じ仕組みの中で扱い、部品構成の変更が手配や在庫に正しく反映される状態づくりを支援します。「部品表がExcelと図面に散らばっている」「どこから整えればよいか相談したい」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

よくある質問

Q1. 部品表(BOM)とは何ですか?

製品をつくるのに必要な部品・材料と、その数量、組み合わせの関係をまとめた情報で、英語のBill of Materialsの頭文字をとってBOMと呼ばれます。完成品を親、構成するユニットや部品を子とし、親1個に子がいくつ必要かを員数として持ちます。在庫管理、資材の発注、原価計算、工程管理の土台になる情報です。

Q2. E-BOMとM-BOMの違いは何ですか?

E-BOM(設計部品表)は、図面やCADをもとに製品の機能と構造を表す部品表で、主に設計部門が使います。M-BOM(製造部品表)は、E-BOMに工程の順番、中間品、接着剤や梱包材などの副資材、内製・購買・外注の手配区分を加え、製品をどうつくり、何を手配するかを表す部品表で、生産管理・購買・製造部門が使います。

Q3. 部品表に必要な項目は何ですか?

品目マスタとして品目コード・品名・図番・単位・手配区分・仕入先とリードタイム・単価を、構成の情報として親品目・子品目・員数・ロス率・使用する工程・版数や有効期間を持つのが一般的です。最初から全項目を埋める必要はなく、品目コード・親品目・子品目・員数・単位・手配区分の6つがそろえば、必要数の計算と手配の担当分けを始められます。

Q4. 部品表はExcelで管理できますか?

製品数や設計変更が少ないうちはExcelでも管理できます。その場合も、1行に1つの親子の組み合わせを書くストラクチャー型で持ち、品目コードで部品を指定しておくと、のちにシステムへ移しやすくなります。ただし担当者ごとにコピーが増えると最新版がわからなくなり、共通部品の合算や在庫の引き当ても手作業になるため、品目や変更が増えたらシステム化を検討します。

Q5. 部品表から必要な部品の数はどう計算しますか?

生産計画の数量に、階層ごとの員数を掛け合わせて総所要量を求めます。例えば製品1台にユニット2個、ユニット1個に部品3個なら、100台で部品は600個です。そこから引当可能な在庫と発注残を差し引き、必要に応じて安全在庫を加えたものが正味所要量で、これをリードタイムをさかのぼった時期までに手配します。この考え方をMRP(資材所要量計画)と呼びます。

高橋 央

この記事の執筆者

高橋 央株式会社Sei San Sei 代表取締役CEO

株式会社Sei San Sei CEO。半導体商社での技術提案、リクルートでの製造業向け採用支援・RPO推進を経て、ITベンチャー取締役・人事責任者を歴任。2023年にSei San Seiを設立し、大手製造メーカーをはじめ累計30社以上の採用・業務改善支援を手掛ける。「現場の技術理解」と「採用・組織作り」の双方に強いノウハウを持つ。著書に『仕事や将来に迷った時に、若手キャリア層のこれからの描き方』がある。

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