生産性 2026.10.09

製造業の不良率を下げる方法|計算式と見方、4Mとなぜなぜ分析で原因を絞り込み、ポカヨケで再発を防ぐ対策手順

製造業の不良率を下げる方法|原因分析と対策手順

不良が出るたびに朝礼で「気をつけるように」と伝え、検査の人数を増やし、それでもしばらくすると同じ不良が戻ってくる。中小工場でよく見かける光景です。材料費や加工の手間が無駄になるだけでなく、客先に流出すれば信頼を失い、手直しや選別のための残業も増えていきます。

不良が減らない理由の多くは、作業者の注意力ではなく、不良がどこで・何が・どれくらい起きているかが数字で分からないことと、対策が仕組みにまで届いていないことにあります。逆に言えば、記録と分析の順番さえ押さえれば、大がかりな投資をしなくても不良率は着実に下げられます。

この記事では、不良率の計算式と見方、不良が減らない原因、記録から再発防止までの5つのステップ、4M別の対策例、データとAIの活用法を、中小工場の現場を前提に整理します。

不良率とは|計算式と、あわせて見るべき数字

不良率は、生産した数のうち不良になった数の割合で、次の式で計算します。

  • 不良率(%) = 不良数 ÷ 生産数 × 100
  • 直行率(%) = 手直しなしで1回で良品になった数 ÷ 生産数 × 100
  • ppm = 100万個あたりの不良数。不良の少ない量産工程で使います。

不良率だけを見ていると、手直しして良品にしたものが数字に表れず、品質の問題が隠れてしまいます。直行率を合わせて見ると、手直しにかかっている手間も含めた実態が分かります。また、工場の中で見つかる工程内不良と、客先で見つかる流出不良は分けて管理します。流出不良は件数が少なくても損失が大きいため、別の指標として追うのが基本です。

不良率の目安は業種や製品によって大きく異なり、一律の基準はありません。他社の数字と比べるより、自社の工程ごとの推移を見て、重点不良が減っているかで評価します。KPIとしての位置付けは製造業の生産性向上 指標で詳しく紹介しています。

不良が減らない中小工場の5つの原因

1. 不良の記録が粗い

「今月の不良は○個」という合計だけでは、どの工程のどの不良を減らせばよいかが分かりません。不良の種類、工程、設備、日時、ロットまで記録されていないと、分析のしようがありません。

2. 原因を作業者のせいにしてしまう

「新人のミス」「確認不足」で原因調査を終えると、仕組みの問題が見過ごされます。同じ作業を別の人がしても起こりうる不良は、人ではなく手順や治具に原因があります。

3. 対策が注意喚起で終わる

掲示物や朝礼での注意は、しばらくは効いても時間とともに薄れます。人の注意力に頼る対策は、再発防止策としては最も弱い部類です。

4. 作業のやり方が人によって違う

作業標準書がない、あっても古い、ベテランの勘で条件を変えている、という状態では、同じ製品でも作る人によって品質がばらつきます。品質が属人化している状態です。

5. 検査で止めているだけになっている

検査を強化すれば客先への流出は減りますが、工程で作られる不良そのものは減りません。検査の工数ばかりが増え、不良のコストは二重にかかり続けます。

不良率を下げる5つのステップ

ステップ1:不良を種類・工程・発生日時で記録する

不良が出るたびに、不良の種類(キズ・寸法不良・欠品など)、工程と設備、日時、ロット、数量、作業者を記録します。紙のチェックシートでも始められますが、集計の手間を考えると、作業日報と一緒にタブレットで入力できる形がおすすめです。記録の電子化は製造業の日報を電子化する手順が参考になります。

ステップ2:パレート図で対策する不良を絞り込む

1〜2か月分の記録を、不良の種類別・工程別に件数や損失金額の多い順に並べます。多くの場合、上位の2〜3項目で全体の大半を占めます。すべての不良に手を広げず、上位の不良に対策を集中させるのが、少ない人数で成果を出すコツです。

ステップ3:4Mで要因を洗い出し、なぜなぜ分析で真因を突き止める

重点不良について、人(Man)・設備(Machine)・材料(Material)・方法(Method)の4Mの観点で考えられる要因を洗い出します。特性要因図(魚の骨図)にまとめると、抜けが見つけやすくなります。そのうえで、現物と現場を確かめながら「なぜ」を繰り返し、真因まで掘り下げます。

このとき大切なのは、答えを「作業者の不注意」で止めないことです。「なぜ注意しなくても間違えない仕組みになっていなかったのか」まで掘り下げると、治具・手順・条件など、手を打てる真因が見えてきます。

ステップ4:ポカヨケと標準化で再発を防ぐ

対策は、効果の強い順に「なくす(工程や部品の見直し)」「間違えようがなくする(ポカヨケ)」「間違えたら止まる・知らせる(センサー・検知)」「手順で防ぐ(標準化・教育)」と考えます。向きを間違えると付かない治具、数が揃わないと次へ進めない部品トレイ、寸法が外れたら止まる設備などが代表的なポカヨケです。あわせて、加工条件を固定し、作業標準書を改訂して、誰が作業しても同じ品質になる状態を作ります。

ステップ5:効果を確認し、他の工程と製品に横展開する

対策の前後で不良率を比較し、効果を確かめます。効果があった対策は、似た工程や製品にも広げます。対策の内容と効果は記録として残し、次の重点不良に取り組みます。ISOを運用している工場なら、是正処置の記録と一体で管理すると、二重の書類作りを避けられます。

4M別の対策の例

  • 人(Man):作業標準書を写真付きに改訂する、重要工程は認定制にする、スキルマップで誰がどの工程を任せられるかを見える化する。
  • 設備(Machine):刃物や金型の交換周期を決める、条件の変化を記録する、日常点検で異常を早く捉える。設備起因の不良は設備保全の仕組みと合わせて減らします。
  • 材料(Material):受入検査の項目を見直す、ロットごとの材料特性を記録する、仕入先と不良データを共有して改善を依頼する。
  • 方法(Method):加工条件を数値で固定する、段取り後の初品確認を必ず行う、工程の順番や治具を見直してミスが起きにくい流れにする。

これらに加えて、測定方法のばらつき(Measurement)が不良判定を不安定にしていることもあります。測定器の校正や、限度見本による判定基準の統一も見直しておきましょう。

データとAIを活用して不良を減らす

不良の記録が電子化されると、加工条件、材料ロット、設備の状態、作業者といったデータと不良の発生を突き合わせられるようになります。「この設備のこの時間帯に寸法不良が増える」「この仕入先のロットでキズが多い」といった傾向は、データがあれば短時間で見つけられます。

外観検査では、画像からキズや汚れを判定するAIの導入も進んでいます。ただし、AIの判定精度は学習に使う良品・不良品の画像の量と質に左右されます。まずは不良の記録と画像を残す仕組みを作り、そのデータを使ってAIを試す、という順番が失敗しにくい進め方です。製造業でのAI活用の全体像は製造業のAI活用事例を参考にしてください。

まとめ:不良率は、記録→重点化→真因→仕組みの順で下げる

  • 不良率は不良数÷生産数×100。直行率と、工程内不良・流出不良の区別もあわせて見る
  • 不良が減らない原因は、記録が粗い、人のせいにする、注意喚起で終わる、作業がばらつく、検査頼みの5つ
  • 手順は、不良の記録→パレート図で重点化→4Mとなぜなぜ分析で真因→ポカヨケと標準化→効果確認と横展開の5ステップ
  • 対策は、なくす→間違えようがなくする→止まる・知らせる→手順で防ぐ、の順に強い
  • 記録が電子化されれば、条件やロットとの突き合わせやAIによる検査にもつなげられる

不良を減らす取り組みは、まず1か月、不良を種類と工程に分けて記録することから始まります。数字が見えれば、どこに手を打つべきかは自然と決まります。生産性向上の全体像は生産性完全ガイドを、製造業に絞った進め方は製造業のDX・生産性向上ガイドを参考にしてください。

株式会社Sei San Seiでは、生成AI × RPA × 業種特化型の次世代型ERPであるMINORI Cloud 製造業版を提供しています。製造・建設・福祉に最適化された13モジュールで、作業実績・不良の記録・検査結果・是正処置をひとつにまとめ、不良の傾向を見える化して改善につなげる仕組みづくりを支援します。「まずは不良の記録から整えたい」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

よくある質問

Q1. 不良率の計算式を教えてください。

不良率は、不良数 ÷ 生産数 × 100(%)で計算します。不良の少ない工程では、100万個あたりの不良数を表すppmで管理することもあります。あわせて、手直しをせずに1回で良品になった割合を示す直行率を見ると、手直しで隠れている品質の問題も把握できます。工程ごと、不良の種類ごとに分けて計算すると、対策すべき箇所が明確になります。

Q2. 製造業の不良率の目安はどれくらいですか?

不良率の目安は業種・工程・製品の難しさや顧客の要求によって大きく異なり、一律の基準はありません。量産の部品加工ではppm単位の管理が求められる一方、多品種少量の工程ではより高い率になることもあります。他社の数字と比べるより、自社の工程ごとの推移を記録し、重点不良を減らせているかで評価するのが実践的です。

Q3. なぜなぜ分析のコツは何ですか?

現物と現場を確認しながら進めること、そして答えを作業者個人の不注意で止めないことが最大のコツです。「注意が足りなかった」で終わると対策は注意喚起しか出てきません。「なぜ注意しなくても間違えない仕組みになっていなかったのか」まで掘り下げると、治具・手順・設備条件など、仕組みの側にある真因と具体的な対策が見えてきます。

Q4. ポカヨケとは何ですか?

ポカヨケは、うっかりミスがあっても不良が発生しない、または不良が次工程に流れない仕組みのことです。向きを間違えると取り付けられない治具、部品の数が足りないと次に進めない部品トレイ、寸法が外れたら設備が止まるセンサーなどが代表例です。人の注意力に頼らず、ミスそのものを起こせない状態を作るのが目的です。

Q5. 検査を強化すれば不良率は下がりますか?

検査を強化すると客先への流出は減りますが、工程で作られる不良そのものは減りません。検査工数が増えてコストも上がります。検査は不良の流出を防ぐ最後の砦として必要ですが、不良率を下げるには、不良が発生する工程で原因を突き止め、ポカヨケや条件の標準化で作り込まない状態にすることが欠かせません。

高橋 央

この記事の執筆者

高橋 央株式会社Sei San Sei 代表取締役CEO

株式会社Sei San Sei CEO。半導体商社での技術提案、リクルートでの製造業向け採用支援・RPO推進を経て、ITベンチャー取締役・人事責任者を歴任。2023年にSei San Seiを設立し、大手製造メーカーをはじめ累計30社以上の採用・業務改善支援を手掛ける。「現場の技術理解」と「採用・組織作り」の双方に強いノウハウを持つ。著書に『仕事や将来に迷った時に、若手キャリア層のこれからの描き方』がある。

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